History 第十章 展開期(平成後期~令和)外航海運に本格進出

「円高」不況

経済紙の紙面には、連日のように「円高」の文字が載った。
「リーマン・ショック」が起きた平成20年(2008)、為替相場において円は「安全な資産」と評価されていた。わが国が、巨額の経常黒字を続けたことで、世界最大の対外債権国となり、国際的な円の信認が高まっていたからである。1ドル=110円であった円相場は、「有事の円買い」でたちまち100円を割り込み、その後も「円高」傾向が続いた。

「円相場が史上最高値、1ドル=75円32銭」(2011.10.31「新聞記事の見出し」)
平成23年(2011)には、ギリシャ発の欧州通貨危機を契機として、円がさらに買われた。同年3月の東日本大震災によって、わが国は甚大な被害を蒙ったにもかかわらず、「円高」が進んだ。「円安」に動いてもおかしくない局面であったが、日本の保険会社が海外資産を売却し、円に替えて保険金の支払いに充当するのではないかという思惑で、投機家が円を買ったことや、日本企業が海外投資を控えて国内問題の処理を優先したことなどから、「円高」になった。10月には、1ドル=75円32銭という戦後最高値に達した。

歴史的な「円高」、東日本大震災による電力供給の不安等により、製造業の海外生産比率が上昇した。国内物流量は伸びを欠いていた。

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