History 第九章 拡張期(平成中期)創業100年を迎えて

グローバルスタンダードへの取り組み

新世紀の幕開けとなる平成13年(2001)は、青野海運にとって、グルーバルスタンダードへの取り組みを本格的に開始した年である。

ISOの認証の取得

最初に取得すべきは、ISO9002の認証であった。
ISOとは、スイスのジュネーブに本部を置く非政府機関 (国際標準化機構)の略称で、主な活動は国際的に通用する規格を制定することであり、ISOが制定した規格をISO規格という。
ISO規格は、国際的な取引をスムーズにするために、何らかの製品やサービスに関して「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにする」という国際基準である。身近な例としては、非常口のマーク(ISO7010)やネジ(ISO68)などがあり、これらは製品そのものを対象とする「モノ規格」である。

一方、製品そのものではなく、組織の品質活動や環境活動を管理するための仕組み(マネジメントシステム)についてもISO規格が制定されている。これらは「マネジメントシステム規格」と呼ばれ、品質マネジメントシステム(ISO9001)や環境マネジメントシステム(ISO14001)などがある。
「青野海運は、海運部門と陸上部門の双方で、業務の改善に努めて、物流トラブルや災害の根絶を図り、高い品質を確保することで、顧客の信頼を深めていかなければならない」
青野正社長は、社内に安全管理委員会を設置し、有馬重利を専任指導長に据えて、社員一人一人の意識改革を進めた。

その結果、青野海運は、平成13年(2001)4月にISO9002の認証を取得し、15年(2003)6月にはISO9001とISO2000の認証を取得した。

任意によるISMコードの取得

安全管理の取り組みは、海運業界においても進められていた。
近年の船舶事故の多くが人的ミスに起因していることから、主として船舶のハード面に着目し、船体向上や設備の充実により対処してきた従来の安全対策とは別に、人的要因というソフト面からの安全対策の必要性が世界的に認識され、IMO(国際海事機関)において「人的要因」についての検討を進めてきた。

この結果、船舶の運航管理体制に関する国際的規範を定めることにより、各海運企業の運航管理体制を確立し、船舶の安全運航の向上を図ることが決定され、平成5年(1993)のIMO総会においてISMコード(国際安全管理コード)として採択された。これを受け、6年(1994)には「海上人命安全条約」(SOLAS条約)が改正され、旅客船・タンカー等について10年(1998)から同コードが強制化されることとなった。また、同コードの実施にあたり、世界的に統一のとれた実施を図るためのガイドラインが、7年(1995)のIMO総会において採択された。

青野海運では、運輸安全マネジメント制度に積極的に取り組み、完全管理体制を常にブラッシュアップしている。外航船は、早期にISMコードの認証を取得したが、取得義務のない内航船についても、平成23年(2011)に「任意によるISMコード」を取得した。

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