21世紀の航海
この30年間は、まさに「激動の時代」であった。
青野海運にとっては、外航海運に本格進出を果たすとともに、積極的に事業の多角化を図ることで、飛躍と成長と発展を遂げた時期であった。また一方では、続けざまに危機に見舞われた艱難辛苦の時期でもあった。
青野海運を襲ったのは、リーマン・ショックや「円高」不況、新型コロナウイルスの感染拡大だけではなかった。
平成17年(2005)、ベトナム沖で海賊に襲われた「リリウム ガス」。
平成23年(2011)、東日本大震災の大津波に襲われた「第三十六光輝丸」。
平成26年(2014)、海運不況の嵐に襲われた「ブリリアント モイラ」。
令和4年(2022)、ウクライナ戦争によって、黒海の奥深くに閉じ込められた「グローバル アグライア」。
青野海運は、青野正会長・青野力社長の指揮のもと、役職員が一丸となってこれらの危機に対処した。その結果は、次のとおりである。
「リリウム ガス」は、海賊に船を奪われることなく、乗組員も上手く身をかわして全員無事であった。
「第三十六光輝丸」は、大津波によって船体を損なわれることなく、乗組員も避難して全員無事であった。
「ブリリアント モイラ」は、オペレータに傭船解約を申し入れて、最高値で売却することができた。
「グローバル アグライア」は、乗組員は陸路で難を逃れて全員無事で、後に船舶は「穀物人道回廊」を通って黒海からの脱出を果たした。
「天はみずから助くるものを助く」(サミュエル・スマイルズ/中村正直訳『西国立志編』)という言葉がある。青野海運グループの固い結束と、役職員一人一人が持ち場を守り、奮励努力したことが、かかる天運を呼び寄せたといえよう。
航海は、波穏やかな好天の日ばかりではない。
これからも「青野丸」の行く手には、嵐や颶風、竜巻、激浪、怒涛、大津波、氷山などの数々の危機が迫り、あるときは海図にない暗礁に遭遇するかもしれない。
危急存亡の秋、青野正会長・青野力社長と役職員が「心を一つ」にして立ち向かえば、いかなる危機も突破し、いかなる苦難も乗り越えることができるであろう。
波濤を越えて、青野海運グループの21世紀の航海は続く。